3.印刷と環境保護

皆さんは印刷というとどのようなイメージを抱いていますか。学校で印刷機を使ってプリントや資料、冊子を印刷したという記憶が思い浮かぶのでしょうか。それとも会社に入って名刺やチラシ、のぼり、会社案内等の宣伝用資料を印刷業者に依頼したというイメージでしょうか。確かにこれらは全て印刷の範疇に含まれます。印刷というと非常に身近でありながら、ですが実は印刷業界や印刷のあれこれについてよく知らなかったのではないでしょうか。そんな身近にありながら、知っているようで知らない印刷のあれこれについて話を進めたいと思います。
印刷物を作るためには、どういった原料が必要でしょうか。まずは当然紙が必要です。それから印刷用のインキ、印刷版、印刷用の機器・機械、それに必要な薬品・油類、その他の資材が必要となります。印刷過程でそうした資材を使っていくと、当然そこで使用されるエネルギーや排出される廃棄物も多岐にわたります。
そのなかでリサイクルできるものは当然リサイクルします。例えば印刷用紙。それにアルミで作られている印刷版です。ですがリサイクルできず使用後は廃棄物となる資材もあり、環境保護のために印刷業界全体で少しでもこれらの廃棄物を減らしていく努力が求められるわけです。ここでは環境保護のために新しく考え出された印刷技術、資材を紹介します。

  1. 水無し印刷

現在カタログやパンフレット、チラシや書籍などの印刷方式で主流となっている平版オフセット印刷方式は、他の印刷方式よりも廃棄物やVOC(揮発性有機化合物)排出量が少ないのですが、まだ改善すべき点も残しています。
その対策の一つが、環境負荷を少なくした水無し印刷と呼ばれる印刷方式です。通常の印刷方式では印刷版の作成時に大量のアルカリ性現像廃液が排出されます。また印刷時にも毒性のある「湿し水」が使われています。水無し印刷方式だとそうした湿し水が不要となり、廃液もほとんど出ないため、廃棄物の削減に大きく貢献することになります。
こうした水無し印刷は、本来高品質・高生産性を目的に開発された技術ですが、近年は環境にやさしいことで新たに注目を集めています。ですが他の業種の環境対策と同様、コストの面でやや割高となるため世界的な普及はまだまだですが、特に環境問題に関心の高い欧州などでは積極的に導入する動きも見られています。

  1. 大豆油インキ

最近では環境対策のためにいろいろなところで植物性の原材料が取り入れられていますが、印刷の世界も例外ではありません。印刷インキで大豆油インキが導入され、それがほぼ定番化しつつあります。
大豆油インキは従来のインキよりも成分中の石油系溶剤を少なくしたもので、石油資源の使用を減らし、再生可能な植物性油に置き換え、さらに石油系溶剤から生じるVOCの削減効果も期待されています。

  1. ノンVOCインキ

ノンVOCインキも前記の大豆油インキと同じ考え方で、従来のインキから成分中の石油系溶剤をゼロにしたもので、石油資源の使用を減らし、再生可能な植物性油に置き換え、さらに石油系溶剤から生じるVOCをなくす効果が期待されています。しかし環境保護効果が高い分、コストがかかるのが難点です。

このように印刷業界でも環境保護への取り組みが進んでいます。ですがその多くはコストが高くつくため、今後はいかにしてコストを下げ普及を進めていくかが、印刷業界全体で克服すべき課題と言えましょう。

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最終更新日:2017/11/15