5.紙と環境保護

皆さんは印刷というとどのようなイメージを抱いていますか。学校で印刷機を使ってプリントや資料、冊子を印刷したという記憶が思い浮かぶのでしょうか。それとも会社に入って名刺やチラシ、のぼり、会社案内等の宣伝用資料を印刷業者に依頼したというイメージでしょうか。確かにこれらは全て印刷の範疇に含まれます。印刷というと非常に身近でありながら、ですが実は印刷業界や印刷のあれこれについてよく知らなかったのではないでしょうか。そんな身近にありながら、知っているようで知らない印刷のあれこれについて話を進めたいと思います。
現在地球規模で環境保護への取り組みに力を入れており、無論印刷業界とて例外ではありません。印刷業界でも無駄をなくし、環境にやさしい技術や資材の使用を試みています。皆さんは「森林認証制度」という言葉を聞いたことがありますか。これは最近注目されている新しい環境保護のための方策の一つなのです。
印刷業界はその業務上、紙を大量に使用します。そして大量の紙の使用が森林の破壊を招き、地球環境に大きな影響を及ぼしていることはご存知だと思います。現に毎年日本の国土面積の約4割に当たる面積の熱帯雨林が失われているという数字も報告されています。森林の伐採や乱開発、そして酸性雨等の影響による森林の減少は既に深刻化しています。森林は資源としても重宝されますし、言うまでもなく光合成を通して二酸化炭素を吸収し酸素を造りだすという、全ての生物にとって重要な役割を担っています。また地球温暖化の抑制にも森林は大きな役割を果たしています。地球温暖化防止や、自然保護、野生動物保護を実現するためには、世界各国が適切な管理の下で森林を資源として有効に活用し、かつ保全することが求められています。それを具体化する方策の一つとして冒頭の森林認証制度が生まれました。
日本では再生紙の利用がすっかり定着した感じがあります。カタログやチラシ等に再生紙が使われるのはもう当たり前になってきました。近年はさらに「FSC森林認証紙」も使われるようになっています。では、従来の再生しとこのFSC森林認証紙とは、どこが異なるのでしょうか。
リサイクルという方策は資源保護の観点から見れば非常に有効です。ですが、リサイクルによって回収された資源を再び別の資源として再生する過程で生じるエネルギーのロスや環境への負荷は、実は小さいものではありません。特に再生紙の場合、古紙再生時に化石燃料を使用したり、市中回収の際に自動車を利用したりすることで、二酸化炭素を発生させていることもあります。リサイクルの行為そのものが環境に負担をかけているのです。リサイクルが社会に定着する分、こうしたリサイクルの過程で発生する環境負荷の増加も見逃せなくなりました。森林認証紙とは適正に管理された森林から作られた用紙のことを言います。印刷用紙に関しても、従来の再生紙を使用するよりも、こうして適正に管理された流通製造過程で作られた森林認証紙を使用したほうが環境によい、という考えが生まれています。
現在日本の古紙回収率は70%、利用率も60%にも達していると言われ、この数字をこれ以上引き上げることは非常に困難になっています。とはいえ、紙ごみを減らし有効活用するためには古紙の再利用も必要不可欠で、今後は森林資源と古紙再生資源の両方をバランスよく活用することが求められます。

地球環境保護に努めることが企業の使命と考えられるようになった現在、印刷業界も過去の経験から学び、ノウハウを活かすことで環境保護への真剣な取り組みが求められています。

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最終更新日:2015/7/27